問題になるケース
市街化区域にある500㎡の雑種地の一部(50㎡)が、コインパーキングとして一括賃貸されたうえで使用されています。この場合の評価単位はどうなるでしょうか。なお、この地域の標準的な宅地規模は100㎡程度とします。

見解はふたつに分かれると思います。ひとつは、コインパーキング部分には賃借権が存在するので、ここだけは別評価されるべきというものです。いまひとつは、コインパーキング部分は狭小なので、隣接部分と一体評価すべきというものです。どちらの理屈も正しいように感じますが、結果は真逆になります。「権利」と「狭小」とで、どちらを重視して評価単位の判定をすべきなのでしょうか。
他者の権利が存在すると「別評価」される根拠
雑種地は、「利用の単位となっている一団の雑種地を評価単位とする。(評価通達7-2(7))」とされますが、この「利用の単位」の意義について、下の裁決事例は宅地の評価単位である「1画地の宅地」と同様との判断を示しています。
◇東裁(諸)平26第77号(平成27年3月4日)
宅地と状況が類似する雑種地において、評価基本通達7-2 (7)本文の定めによる評価単位については、「利用の単位となっている一団の雑種地(同一の目的に供されている雑種地をいう。) 」の判断に当たり、宅地の評価単位に係る取扱いと同様に、原則として、①雑種地の所有者による自由な使用収益を制約する他者の権利の存在の有無により区分し、②他者の権利が存在する場合には、その権利の種類及び権利者の異なるごとに区分して行うのが相当であり(後略)。
ここからすると、例示の土地ではコインパーキング部分に「雑種地の所有者による自由な使用収益を制約する他者の権利」が存在するため、同部分はそれ以外の部分とは別に評価されるはずです。
狭小だと「一体評価」される根拠
評価通達7-2(7)によると、狭小部分は周囲と一体評価されることが分かります。形状がいびつである場合や、道路から離れている場合も同様です。
(前略)ただし、市街化調整区域以外の都市計画区域で市街地的形態を形成する地域において、82((雑種地の評価))の本文の定めにより評価する宅地と状況が類似する雑種地が2 以上の評価単位により一団となっており、その形状、地積の大小、位置等からみてこれらを一団として評価することが合理的と認められる場合には、その一団の雑種地ごとに評価する。
ここからすると、例示の土地についてはコインパーキング部分が狭小であるため、周辺と一体評価されるはずです。
本件へのあてはめ
別評価か一体評価か、それぞれ根拠があるため規定が矛盾して感じられるかもしれませんが、よくよく読んでみると、そうでもないようです。つまり、評価通達7-2(7)はその本文で、雑種地の評価単位は「利用の単位」が基準であるとし、その後で(ここ重要)、ただし書きによって、規模等によっては一体評価の可能性があるとしています。
なので、例示の土地だと、(1)コインパーキング部分は他者の権利があって「利用の単位」が異なるので別評価だな→(2)ただし書きに「狭小だと一体評価」とあって、これに該当するな。という順番になるわけであって、つまりは他者の権利が存在したとしても、その部分が狭小である等の場合は一体評価が妥当であろうというのが、私の見解です。前掲の裁決事例の続きに、下のようにそれっぽいことが書かれていることも、この見解を補強する材料として挙げておきます。
なお、権利が存在することによる減額(例えば賃借権の2.5%減など)は、面積按分で行えば問題ないと考えられます。
◇東裁(諸)平26第77号(平成27年3月4日)
また、評価基本通達7- 2 (7)ただし書に定める場合に該当する雑種地であるか否かについては、評価基本通達7-2 (7)本文の定めによる評価単位とした場合に、各評価単位の雑種地が宅地としての効用を果たさない形状、地積の大小、位置等であるか否かによることが相当である。
「狭小」の基準とは
同じ裁決事例では、土地が所在する自治体の分割最低面積基準をもって、「狭小」か否かの基準としています。自治体によっては、行き過ぎた土地の細分化による環境悪化を抑制するため、土地を分割する際の最低面積基準を定めていることがあるのです。
◇東裁(諸)平26第77号(平成27年3月4日)
評価基本通達7 -2 (7)本文の定めによる評価単位である本件A土地、本件B土地及び本件C土地は、いずれも、道路に接する距離が十分な形状の土地であり(道路に接する距離が最も短い本件C土地の間口距離は5.5mである、本件土地の分割を行う場合の■の条例による基準(地積70㎡以上 )を満たす地積である(地積が最も小さい本件C土地の地積は99.21 ㎡であることから、本件A土地、本件B土地及び本件C土地は、それぞれを評価単位としても、いずれも宅地としての効用を果たさない形状、地積の大小、位置等とはならない。したがって、本件A土地、本件B土地及び本件C土地は、評価基本通達7-2 (7)ただし書に定める場合に該当する雑種地ではない。
評価対象地が、このような最低面積基準を設けていない自治体に所在する場合はどうすればいいでしょうか。おそらくは、周辺地域の土地の利用状況をみての判断ということになるのでしょう。
ほかのケース
以上からすると、下のようなケースも同様に考えられます。評価基本通達7- 2 (7)本文で別評価だけど、ただし書きで一体評価になるわけですね。

一方、下のようなケースでは別評価になるはずです。評価基本通達7- 2 (7)本文で別評価→ただし書きに該当しない→本文に戻って別評価確定、というわけです。

