自宅駐車場の評価単位(自宅駐車場はどこまで自宅駐車場か)

 自宅敷地とマイカー用駐車場とが連続している場合、下のような一般的ケースでは一体評価が行われるのが通常です。地目の判定に際しては、「土地の現況及び利用目的に重点を置き,部分的にわずかな差異の存するときでも,土地全体としての状況を観察して定めるものとする。(登記準則68条)」からです。これが当てはまるとするなら、全体を自宅敷地として、1画地の宅地と判定することになります。

 


 では、駐車場が大きくなり「部分的にわずかな差異」とは言えない規模になってきたらどうでしょう。この場合は宅地と雑種地とが隣接していることになり、地目別評価の原則(評価通達7本文)により別評価を行う可能性も出てきます。

 実務でしばしば遭遇する問題は、上の二つの境界線です。自宅敷地と連続してそこそこ大きな駐車場スペースがありそこに自家用車を停めているのだけれど、お客さん用のスペースがあったり一部が外部貸しに供されていたりする場合です。要は、規模・用途共に中途半端な場合、評価単位について非常に悩みます。

 下の裁決事例は、その悩みに対する参考のひとつだと思います。用途的には「主として」どうなのかという基準で判断がなされています。「本件居宅」に隣接する「本件南側駐車場」は、
・隣接する共同住宅居住者の自動車(1区画)
・同入居者以外の外部者の自動車(1区画)
・居宅を訪れる者用の駐車場
の用に供されていますが、ここは、主として同居宅の駐車場であると認めるのが相当とされています。

◇平成20年12月19日裁決[大裁20-38]※図は京都地裁平成24年2月29日のもの 

 そのうえで、駐車場を宅地とは別に「雑種地」と認定。ただ、「一体として利用されていると認められる」ため、評価通達7ただし書きにより隣接宅地と一体評価と裁決しています。なお、駐車場の面積は不明ですが、図から判断すると300㎡くらいではないかと推測されます。

 貸家に隣接する駐車場が、貸家敷地の一部と認められるための要件のひとつに、借家人専用(全区画が借家人用で1区画でも外部貸等があれば貸家敷地の一部ではない)というのがありますが、本裁決は「主として」という基準を用いており、論点は異なるながらも対照的な気がしました。


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