借地権価格と貸家建付借地権価格(図解してみた)

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借地権とは 貸家建付借地権とは

 「借地権」とは、建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいいます。そして、この借地権等が存在する土地が「貸宅地」です。「貸家建付借地権」は、貸家敷地の用に供されている借地権をいいます。つまり、土地を借りて貸家を建てている人の土地に対する権利です。

借地権価額と貸家建付借地権価額

 借地権価額と貸家建付借地権価額について図にすると下のようになると思います。借地権価額と貸宅地価額とを足せば自用地価額になる、というのはよく言われることですが、借家権価額と貸家建付借地権価額を足せば借地権価格になります。要は、全部足せば自用地価額になるように、(相当地代の支払いがある等の特別の場合を除いて)基本的にはそのように規定は作られています。貸家建付借地権価額はいろいろ難しい算式で表されますが、借地権価額から借家権価額とを控除すれば、すぐに求められます。

①実際の地代<通常の地代(評価通達で処理される通常の場合)

 参考までに、財産評価基本通達には下のように規定されています。

財産評価基本通達(借地権の評価) 27 借地権の価額は、その借地権の目的となっている宅地の自用地としての価額に、当該価額に対する借地権の売買実例価額、精通者意見価格、地代の額等を基として評定した借地権の価額の割合(以下「借地権割合」という。)がおおむね同一と認められる地域ごとに国税局長の定める割合を乗じて計算した金額によって評価する。ただし、借地権の設定に際しその設定の対価として通常権利金その他の一時金を支払うなど借地権の取引慣行があると認められる地域以外の地域にある借地権の価額は評価しない。

財産評価基本通達(貸家建付借地権等の評価)28 貸家の敷地の用に供されている借地権の価額又は定期借地権等の価額は、次の算式により計算した価額によって評価する。
27《借地権の評価》若しくは前項の定めにより評価したその借地権の価額又は27-2《定期借地権等の評価》若しくは前項の定めにより評価したその定期借地権等の価額(A)-A×94《借家権の評価》に定める借家権割合×26《貸家建付地の評価》の(2)の定めによるその家屋に係る賃貸割合

借地権価額と貸家建付借地権価額(相当の地代が授受)

 相当の地代が授受されている場合の借地権価額と貸家建付借地権価額はどうなるでしょうか。基本的にはそれぞれの価額の構成について「合計すると自用地価額」は同様で、授受されている地代が「相当の地代」の80%を超える場合に限り(貸宅地価額は自用地価額の80%で頭打ちになるのでその分だけ)、合計価額<自用地価額になると思われます。

②通常の地代<実際の地代<相当の地代×0.8

③相当の地代×0.8<実際の地代

相当の地代通達(相当の地代を支払っている場合の貸家建付借地権等の価額) 10 (1)3((相当の地代を支払っている場合の借地権の評価))から5((「土地の無償返還に関する届出書」が提出されている場合の借地権の価額))までに定める借地権(以下「相当の地代を支払っている場合の借地権等」という。)が設定されている土地について、貸家の目的に供された場合又は相当の地代の支払、相当の地代に満たない地代の支払若しくは無償返還届出書の提出により借地権の転貸があった場合の評価基本通達28((貸家建付借地権の評価))から31((借家人の有する宅地等に対する権利の評価))までに定める貸家建付借地権、転貸借地権、転借権又は借家人の有する権利の価額は、相当の地代を支払っている場合の借地権等の価額を基として1((相当の地代を支払って土地の借受けがあった場合)から9((相当の地代を引き下げた場合))までの定めによるものとする。

参考

相当の地代通達については、こちらもご参照ください。

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