定期借地権価額の合理性
ますんですがぁ…(別記事「定期借地権価額の正体①」からのつづきです)、時々、求められた定期借地権価額が自用地価額を上回ってしまう事があります。上で示したとおり、定期借地権価額は主に実際に授受された権利金の額に大きく依存するものであって、路線価を基に計算された自用地価額と整合するとは限らないのです。このような逆転現象(定期借地権価額>自用地価額)は、考え方によっては不合理とも言えそうです。
定期借地権価額のオプション
そこで、このような逆転現象(定期借地権価額>自用地価額)が生じた場合、どのように処理するのがいいでしょうか。いくつか考えがあると思います。このへんの検討を行うために、定期借地権価額算出とはいえ、やはり自用地価額は把握しておいた方が安心です。
①逆転しても気にせず、明細書の結果を定期借地権価額とする。
②自用地価額を上限と考え、自用地価額をもって定期借地権価額とする。
③自用地価額×その地域の借地権割合 を上限と考えその値を定期借地権価額とする。
④その他
定期借地権価額の決定
まず①ですが、前提として、逆転現象はべつに不合理でないと考えます。前記事で説明した通り、定期借地権評価に際して自用地価額は実態的な意味がなく、単に物価変動率を求めるためのものであり、定期借地権価額が主として授受された権利金の額から構成されるなら、その実態を重視すればいいじゃんということです。
次に②です。土地に存する権利がその土地本体より高いのはやっぱりヘンだよねという、ごく常識的な考えです。現に、土地及び土地の上に存する権利の評価明細書の裏面には、権利の価額に関する部分は「0. 」となっています。明細書もこの常識的な考えに基づいているといえるでしょう。下から3段目の欄は「( 権):自用地価額×0. 」となっており、「権利は自用地より安くしていいよ」という黙認にも思えます。
③については、さらに、定期借地権価額が旧借地法借地権価額より高いのはおかしい、という考えが基になります。たしかに、旧借地法による借地人保護が過度であることから借地権設定が忌避され、貸地供給に問題が生じたというのが、定期借地権制度制定の主な動機でした。そうすると、定期借地権価額<旧借地法借地権価額というのも常識的といえそうで、そうであるならば、③も選択肢になりえるのでしょう。
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