容積率の異なる2以上の地域にわたる「角地」の評価

目次

設問

下のような、容積率の異なる2以上の地域にわたる角地はどう評価しますか。

評価通達20-7

 容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価は、評価通達20-7により、それまでの過程で求められた価額に、次の算式により計算した割合を乗じて計算した金額を控除した価額によって評価されます。

 またこの算式にある「容積率」は、指定容積率と基準容積率とのいずれか小さい方の容積率によります(国税庁質疑応答事例「容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価(1)」)。なので、まず、容積率の異なる各部分の「いずれか小さい方の容積率」を求めることになります。

いずれか小さい方の容積率

 各部分の「いずれか小さい方の容積率」を算出します。

 近隣商業部分  指定容積率 300%               ←◎小さい方
         基準容積率 360%(=0.6(※1)×6m)
 一住居部分   指定容積率 200%               ←◎小さい方
         基準容積率 240%(=0.4(※2)×6m(※3))

※1 法定の係数を道路幅員に乗じたものが基準容積率です。ここでは、非住居系地域なので0.6としています。
※2 法定の係数を道路幅員に乗じたものが基準容積率です。ここでは、住居系地域なので0.4としています。
※3 角地の場合は広い方の幅員で計算します。なのでここでは、接している4mではなく6mになります。

算式への当てはめ

評価通達20-7の算式に当てはめます
控除割合={1-(300%×300㎡+200%×200㎡)/300%×500㎡}×0.5(※4)
    ≒0.06666…
    →0.067(小数点以下第3位未満を四捨五入して求める)

そして、明細書欄A~Jの該当額に0.067を乗じた額を、同該当額から控除することになります。

※4 評価通達20-7「容積率が価額に及ぼす影響度」下表によります。
〇容積率が価額に及ぼす影響度

地区区分影響度
高度商業地区、繁華街地区0.8
普通商業・併用住宅地区0.5
普通住宅地区0.1

おまけ

 設問の土地は500㎡あるので、地積規模の大きな宅地の評価(評価通達20-2)を検討することになります。注意が必要なのは、その適用判断は、基準容積率ではなく指定容積率を基に行う点です。混乱しないようにしましょう。

土地評価ブログの要所をまとめたWEB小冊子
「どっちだっけ?」をもれなくプレゼント中!


あれ? となりがちな
宅造費 vs しんしゃく割合 vs 生緑控除の順
相当地代と通常地代
隅切り部分と側方路線調整
ほか 10 トピックを掲載。
下からご請求ください。


【営業時間】平日:9:00~18:00

目次