①評価対象地の状況と争点
物理的状況は下図の通り。倍率地域の市街化調整区域に所在する「1土地」「2土地」について、変電所に隣接することによる減額調整の可否。

②原処分庁主張要旨
各土地が変電所に近接することで、付近の宅地と比較して利用価値が著しく低下しているとは認められず、減額調整は要しない。
③請求人主張要旨
各土地を、変電所に近接することを理由に、利用価値が著しく低下している宅地として減額調整すべき。
④審判所判断要旨
原処分庁支持。著しい利用価値の低下を理由に10%減額調整を行うには、ア.変電所の存在によって利用価値が著しく低下していること、かつ、イ.評価倍率に本件変電所の存在が考慮されていないこと、を要する。本件において、本件変電所と本件各土地とは、いずれも、倍率の評定に当たって勘案された同一の状況類似地域に存するため、評価倍率には変電所の存在が考慮されていると推認される。
⑤まとめ
減額調整が認容されなかったのは、変電所は利用価値を低下させないから、というわけではなく、評価倍率が既に変電所の存在を考慮しているから、です。特定の要因が、評価倍率に反映されているかどうかを判断する筋道を示した裁決事例です。標準宅地や状況類似地域について、固定資産税に係る部署で調査することになります。
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