平成20年7月7日裁決② 200707 ・借地権関連(一時使用の借地権と認定)

〇借地権の存否
・本件土地2:土地上に存する権利について、請求人は評価通達27により評価すべき借地権である旨主張するが、そうではなく借地借家法第25条に規定する一時使用目的の借地権であると認めるのが相当との裁決。

審判所
 ■は本件貸宅地にアパートを建築する予定であったから、長期にわたる賃貸を望んでおらず、こうした被相続人らの意向を受けて、■ は、5年間の賃貸借期間満了時には必ず被相続人らに本件貸宅地が返還されるよう、本件土地一時賃貸借契約に借地借家法上の適用除外条項を適用しないことを本件土地一時賃貸借契約書第10条に盛り込むなど、契約内容に十分配慮した旨を当審判所に答述している。 そして、現実に、本件▢ は、 5年間の賃借期間を 10か月徒過したものの、 自費で本件事務所を取り壊し、 平成19年 4月末に賃貸人である請求人及 に本件貸宅地を返還するに当たり、本件事務所の買取請求を行っていないなど借地借家法上の適用除外条項を適用していないこと、本件土地一時賃貸借契約を締結した際に権利金の授受がなく、 しかも月額330,000円 (1 坪当たり約1,000円)の地代は、 この付近の一時使用により建物を建築する場合の賃料相場に相当する金額であることなどの諸事情を勘案すると、本件貸宅地の上に存する賃借権は、借地借家法第25条に規定する一時使用目的の借地権であると認めるのが相当である。
なお、請求人が主張するとおり、上記イの(イ)のとおり、本件事務所は、鉄骨造りの堅固な建物であり、平成16年における固定資産税評価額が41,217,812円であることからすれば、借地借家法第25条にいう臨時設備には該当せず、短期間の賃貸借に適さないものであったと認められ、また、本件土地一時賃貸借契約において、上記の地代に加えて、本件▢から被相続人らに5,000,000円の保証金が預託されており、この補償金には利息を付さないこととされているとの事実が認められるが、これらのことをもって本件貸宅地に係る賃借権が評価通達27により評価すべき借地権であると解することはできない。
したがって、この点に関する請求人の主張には理由がない。

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