道路と垂直でない路地状敷地を「差引き計算により評価」
質疑応答事例「不整形地の評価―差引き計算により評価する場合」では、道路側が欠けた土地について、「近似整形地」と「隣接する整形地」とを作図することで評価する方法が紹介されており、これが実務上、路地状敷地の評価に応用されています。ただ、質疑応答事例の図は道路に垂直であり、右下図のように道路と垂直でない路地状敷地にこの方法を適用しようとすると、いろいろ悩ましい論点が生じてきます。今回は、右下のような土地をこの方法で評価してみる企画です。
近似整形地
まず、近似整形地です。こんな感じでしょうか。「屈折角は90度」で「はみ出す不整形地の部分の地積と含まれる不整形地以外の部分の地積がおおむね等しく、かつ、その合計地積ができるだけ小さくなるように」という、質疑応答事例で示されている2要件を満たしています。
ここで、道路との付け根部分が垂直でなくてヘンじゃないかというご見解もあると思います。さらに、関裁(諸)平27-54と整合しないのではないかという疑問もあるでしょう。
確かにおっしゃる通りです。ただ、ここまで角度のある土地だと、近似整形地を垂直にしようとすると下図みたいになって、「はみ出す不整形地の部分の地積と含まれる不整形地以外の部分の地積がおおむね等しく、かつ、その合計地積ができるだけ小さくなるように」とはかけ離れてしまうのです。「道路に垂直」という要件は明記されていないし、道路との付け根は目を瞑って進めます。
隣接する整形地
次に、「隣接する整形地」です。下の二つの図(あ・い)うち、どちらが適切でしょう。うーん…。「隣接する整形地」については「屈折角は90度」というルールは明示されていません。ただ、左の「あ」だと「隣接」はするけど「整形地」とは言えない気もします。「い」は道路にめり込んでいる感じが気になるし、ここは一長一短といったところでしょうか。
奥行距離
最期に、奥行距離は下のどちらにすべきでしょう。通常通り、a「(面積÷間口)と想定整形地奥行距離との小さいほう」なのか、b「入り口か奥までの距離」なのか。これは、「隣接する整形地」に依存するのかなと思います。隣接する整形地を上の「あ」にするなら奥行はaで、「い」にするなら奥行はbでっていうのが、整合的な気がします。
計算してみた
それぞれの考え方に基づいて計算をしてみたところ、異なる結果が出ました。今回は「あ」>「い」になりました。
あ | い |
②100,000円×1.00×240㎡=24,000,000円 ③①-②=15,000,000円 ④③÷150㎡=100,000円 | ①100,000円×1.00×(150㎡+240㎡)=39,000,000円②100,000円×1.00×120㎡=12,000,000円 ③①-②=13,650,000円 ④③÷150㎡=91,000円 | ①100,000円×0.95×(150㎡+120㎡)=25,650,000円