賃貸している土地に借主がアスファルト敷きを施し駐車場として利用している場合、評価通達86(1)の「イ」か「ロ」か、どちらで考えるべきでしょうか。アスファルトは「堅固な構築物」か否かという論点です。
財産評価基本通達86(抜粋)
(1) 賃借権の目的となっている雑種地の価額は、原則として、82≪雑種地の評価≫から84≪鉄軌道用地の評価≫までの定めにより評価した雑種地の価額から、87≪賃借権の評価≫の定めにより評価したその賃借権の価額を控除した金額によって評価する。 ただし、その賃借権の価額が、次に掲げる賃借権の区分に従いそれぞれ次に掲げる金額を下回る場合には、その雑種地の自用地としての価額から次に掲げる金額を控除した金額によって評価する。
イ 地上権に準ずる権利として評価することが相当と認められる賃借権(例えば、賃借権の登記がされているもの、設定の対価として権利金その他の一時金の授受のあるもの、堅固な構築物の所有を目的とするものなどがこれに該当する。)
その雑種地の自用地としての価額に、その賃借権の残存期間に応じ次に掲げる割合を乗じて計算した金額
(イ) 残存期間が5年以下のもの 100分の5
(ロ) 残存期間が5年を超え10年以下のもの 100分の10
(ハ) 残存期間が10年を超え15年以下のもの 100分の15
(ニ) 残存期間が15年を超えるもの 100分の20
ロ イに該当する賃借権以外の賃借権
その雑種地の自用地としての価額に、その賃借権の残存期間に応じイに掲げる割合の2分の1に相当する割合を乗じて計算した金額
アスファルトというのはまあ確かに堅いですが、相続税評価上は「堅固な構築物」とは考えず、「ロ」で考えるのがいいでしょう。
平17.3.24仙台地裁
アスファルト舗装は、容易に設定し取り壊すことができるものであると認められ、減価償却資産の耐用年数等に関する省令においても耐用年数は10年とされていることなどからすれば、相続税法上の堅固な構築物とは認められない。原告らはアスファルト舗装に多額の費用がかかったことを堅固な構築物であることの理由の一つとするが、多額の費用がかかることが堅固性に直ちに結びつくものとはいえない。また、特別土地保有税における特定施設の要件の一つとして駐車場の場合にアスファルト舗装が必要であるとされていることも理由として挙げるが、上記は特別土地保有税の免除を受けるための要件の一要素として挙げているに過ぎず、相続税の財産評価と同列で検討すべきものではないから、上記要素の一例とされていることが堅固な構築物の根拠になるということはできない。
駐車場と賃借権については、こちらの記事もご参考ください。
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