道路に接しない宅地を無道路地といい、その評価方法は評価通達20-3に規定されています。ただし、前面宅地を同一人が所有していたり、仮に他人の土地に囲まれていてもその他人の土地に通行権を設定したりしている場合は、無道路地としての評価をしません(タックスアンサーNo.4620無道路地の評価)。このような土地を評価する際には、通路敷設を想定する点では無道路地評価と同様ですが、その通路部分の価額控除は行いません。
しばしば問題になるのは、不整形地補正を行う際にこの通路部分(想定通路)の面積をかげ地割合計算に参入するか否かです。かげ地割合が異なることにより、不整形地補正率の大小に影響することもあるからです。
想定整形地の地積 | 不整形地の地積 | 想定整形地の地積 | かげ地割合 | |
○参入する方法 | ( 800㎡ | -440㎡ ) | ÷800㎡ | =45% |
○参入しない方法 | ( 800㎡ | -400㎡ ) | ÷800㎡ | =50% |
この問題に関しては、
ア.「タックスアンサーNo.4620無道路地の評価」の計算方法に準じて算入しない
イ.通路ありの路地状敷地(旗竿地)を想定して評価しているのだからその形状を尊重して算入すべき
ウ.前面宅地の利用状況から見て、通路敷設が容易な場合やすでに通路形状がある場合は算入し、そうでない場合は算入しない
という、主として3つの見解があるように思えます。争訟事例を参考にしてみましょう。
◇東京地裁平成26年1月24日判決〔税資264-14 (順号12395)〕
本争訟事例では、評価対象地が南北別の評価単位に挟まれています。北側単位が貸家建付地で、南側単位が自用地です。路線から離れた評価単位の評価では、まず想定通路をどの路線に伸ばすかが問題になりますが、本件ではより近くて高い北側路線ではなく、より遠くて安い南側路線に伸ばしています。これは、路線との間に介在するのが他者の権利が存在する土地なのか、あるいは自用地なのかが影響しているのかもしれません。
区分 | 地積等 | ||
想定整形地の地積(注1) | ① | 2,040㎡ | |
地積 | ② | 689.94㎡ | |
かげ地地積(①-②) | ③ | 1,350.06㎡ | ⇐ 通路面積を算入せず |
かげ地割合(③÷①) | ④ | 66.18% | |
不整形地補正率に定める補正率 | ⑤ | 0.65 | |
間口狭小補正率 | ⑥ | 0.94 | |
奥行長大補正率 | ⑦ | 0.90 | |
不整形地補正率 | 0.61 |
次に、当該想定通路の面積をかげ地割合計算に参入するか否かですが、本件では算入しない方法が採用されています。したがって、上の見解のうちでいう「ア」か「ウ」かに因っていると考えられます。
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