東京地裁平成25年8月30日① 250830 ・貸家建付地評価(一時使用目的の借地権の判断基準)

〇貸家建付地評価
・契約時に一時使用目的だったという事が強く推測されるので、実際に13年にわたっていたとしても貸宅地評価はダメ。原処分庁の論証が参考になる(下記【参考】)。
この後東京高裁260213にて控訴棄却。最高裁260213にて上告棄却。
裁決事例221112と関連。

【参考】被告(原処分庁)主張
イ 最高裁判所は、旧借地法9条の一時使用目的の借地権の判断基準として、「その目的とされた土地の利用目的、地上建物の種類、設備、構造、賃貸期間等、諸般の事情を考慮し、賃貸借当事者間に短期間にかぎり賃貸借を存続させる合意が成立したと認められる客観的合理的理由が存する場合」には、一時使用のための借地権と認められると判示しており(最高裁昭和43年3月28日第一小法廷判決・民集22巻3号692頁)、同基準は、借地借家法25条に規定する一時使用目的の借地権についても妥当するものと解される。

ウ これを本件に当てはめると、①Kが賃借した本件C土地の利用目的は、業務用の資機材を格納するための倉庫の設置にすぎず、借地人の建物所有が永続的であることが予定された期間保護の必要性が格別認められないこと(利用目的)、②Kが設置した本件倉庫の設備、構造等は、簡易なプレハブ倉庫であり、ブロック積みの土台の上に設置されているものの、その躯体は倉庫の外壁に鉄製の棒を交差させ、ボルトによって土台に緊結されているにすぎず、格別の困難なしに容易に解体撤去が可能であること(地上建物の種類、設備、構造)、③本件賃貸借契約の賃貸期間に関して、当初の賃貸期間は2年間とされており、同期間の経過後、賃借人たるKの組織変更や賃料の改定もあったにもかかわらず新たな土地賃貸借契約書は作成されていないこと(賃貸期間)、④本件賃貸借契約においては、借地借家法により認められている賃貸人の承諾を得てする土地賃借権の譲渡又は転貸の許可(借地借家法19条及び20条)ができないとの特約が付され賃借人の権限が大幅に制約されていること(甲第7号証4条)、⑤本件賃貸借契約に関し当事者間において権利金等の約定や授受がないこと、⑥本件倉庫は未登記であり普通借地権の第三者対抗要件(借地借家法10条)を具備していないこと、⑦本件賃貸借契約は不動産取引の専門家の立会いの下に締結されたものであるところ、純経済人として経済活動において常に経済合理性が要求される法人であるKの貸借対照表において、土地賃借権が資産として計上されておらず、本件倉庫が「建物」としてではなく「構築物」として計上されていることが認められる。

 以上の諸事情を考慮すれば、本件賃貸借契約に係る当事者間において短期間に限り賃貸借を存続させる合意が成立したと認められる客観的合理的理由が存すると認められ、本件賃貸借契約の実態が借地人の建物所有が永続的であることを前提とした借地期間の法定や更新保護といった期間保護の必要性はないと認められるから、本件C土地は一時使用目的の貸地として評価するのが相当である。 

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