公衆化している施設の用に供されている部分
マンション敷地内の公衆化している部分についての扱いです。
◇資産税審理研修資料(平成16年12月)
公団等のマンション敷地の評価をするに当たり、マンション敷地内に道路、公園等の公衆化している施設の用に供されている宅地が多く含まれている場合について、どのように評価するのか。
(答)通常、公団等の分譲マンションの敷地に供されている宅地で、その宅地が多数の者により共有されている場合には、その敷地全体を評価した価額にその所有者の持分割合を乗じて評価することとされているが、その公団等の分譲マンション敷地のうちに公衆化している道路、公園等の施設の用に供されている宅地が多数含まれていて、建物の専有面積に対する共有部分に応ずる敷地面積が広大となるため、通常の評価方法にしたがって評価( 原則として、マンション用地には、広大地補正率の適用はない)することが著しく不適当であると認められる場合には、その公衆化している道路等の施設の用に供されている宅地部分の面積を除いて評価して差し支えない。
(理由等)多数の者により共有されているマンション敷地の評価は、その敷地全体の評価額にその所有者の持分割合を乗じて評価するが、公団等の分譲マンションは、特色として、マンション敷地の規模が大きいことに加えて、団地内の道路、公園、集会場等の公衆化している敷地部分の面積も大きいことから、共有部分に応ずる敷地面積が大きくなり、結果として、評価通達にしたがって評価( 原則として、マンション用地には、広大地補正率の適用はない) した場合には不合理な結果になることも想定される。そこで、公団等の分譲マンション等の敷地内に公園、道路等の公衆化している施設の用に供されている宅地が多く含まれていて、建物の専有面積に対する共有部分に応ずる敷地面積が広大となるため、通常の評価方法によることが著しく不適当であると認められる場合には、その公衆化している道路等の施設の用に供されている宅地部分を除いて評価して差し支えない。
実務上の取り扱い(マンション敷地の公衆化部分について)
マンション敷地のうち、公衆化している道路等の施設の用に供されている部分については、ゼロ評価の可能性があるのは上記の通りです。ただし、この扱いを評価に反映させるには注意が必要です。実務上は、
・敷地内の通り抜け通路は全て「公衆化」しているといえるのか
・通路の形状が不明確な場合の範囲の確定
・実際に通り抜け通路や公園があるとして、部外者立入禁止の看板等がある場合はどう考えるか
等の問題に直面することが多いのが現状です。さらには、審理研修資料には「公団等の」とありますがすべてのマンション敷地に適用可能なのか、また、「著しく不適当であると認められる場合」以外にも適用可能なのか、という疑問もわいてきます。
これらの問題を克服して公衆化部分の範囲を確定したとして、地積を把握し、根拠資料を作成し、となるとそれなりの手間もかかってきます。そもそもマンション敷地権(土地)の評価額は、相対的に安くなることも多く、上のような手間をかけることにより評価コストが上がるなら、納税額とのインバランスが生じることも考えられます。減額可能幅、評価コスト、否認リスクを見据えて評価することが必要ではないでしょうか。
公開空地と歩道上空地
建築基準法第59条の2のいわゆる総合設計制度による「公開空地」は、マンション部外者による通行・使用が可能な部分ですが、減額評価の対象とはされていません。一方で、都市計画法所定の開発行為の許可を受けるため、地方公共団体の指導要綱等を踏まえた行政指導によって設置された、「歩道状空地」は、一定の要件のもとその対象とされる扱いがなされています。
◇質疑応答事例「公開空地のある宅地の評価」
【照会要旨】 いわゆる総合設計制度により容積率の割増しを受け建物を建築する場合には、敷地内に一定の空地を設け、日常一般に公開することが許可の基準となっています。このようないわゆる公開空地として利用されている宅地については、どのように評価するのでしょうか。【回答要旨】 建物の敷地として評価します。 建築基準法第59条の2のいわゆる総合設計制度では、建物の敷地内に日常一般に公開する一定の空地を有するなどの基準に適合して許可を受けることにより、容積率や建物の高さに係る規制の緩和を受けることができます。この制度によって設けられたいわゆる公開空地は、建物を建てるために必要な敷地を構成するものです
◇質疑応答事例「歩道状空地の用に供されている宅地の評価」
【照会要旨】都市計画法所定の開発行為の許可を受けるため、地方公共団体の指導要綱等を踏まえた行政指導によって設置された、次のような「歩道状空地」の用に供されている宅地については、どのように評価するのでしょうか。 なお、この「歩道状空地」はインターロッキング舗装が施されたもので、居住者等以外の第三者による自由な通行の用に供されています。
【回答要旨】 「歩道状空地」の用に供されている宅地が、法令上の制約の有無のみならず、その宅地の位置関係、形状等や道路としての利用状況、これらを踏まえた道路以外の用途への転用の難易等に照らし、客観的交換価値に低下が認められる場合には、その宅地を財産評価基本通達24に基づき評価します。 具体的には、①都市計画法所定の開発行為の許可を受けるために、地方公共団体の指導要綱等を踏まえた行政指導によって整備され、②道路に沿って、歩道としてインターロッキングなどの舗装が施されたものであり、③居住者等以外の第三者による自由な通行の用に供されている上図の「歩道状空地」は、財産評価基本通達24に基づき評価することとなります。 上図の「歩道状空地」が、不特定多数の者の通行の用に供されている場合には、その価額は評価しません。
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