貸家駐車場に貸家建付地評価が出来る要件について

 アパート等の貸家に付属する駐車場について、貸家建付地評価が可能なのか、それとも自用地評価をする必要があるのかはしばしば問題になります。そもそも、駐車場は一般的に雑種地であるため基本的には貸家建付地評価の対象にはならず、一定の要件を満たす場合に同評価が可能になる、という考え方が定着しています。

◇東裁(諸)22-112(平成22年11月24日)
  貸駐車場は、通常、家屋を利用する範囲内で使用することが必要な部分とは認められないから、原則として、自用地と評価すべきである。ただし、貸家の敷地内に併設された駐車場であって、かつ、駐車場の契約者及び利用者がすべて貸家の賃借人であり、駐車場が貸家入居者専用の駐車場として利用されているなど、駐車場の貸付の状況が貸家の賃貸借と一体となっていると認められるような場合には、当該駐車場は、家屋と一体として利用されているものと認められるから、全体を貸家建付地として評価することができるものと解するのが相当である。

 この、後段部分の「駐車場の貸付の状況が貸家の賃貸借と一体となっていると認められるような場合には、当該駐車場は、家屋と一体として利用されているものと認められるから、全体を貸家建付地として評価することができる」というフレーズは半ばテンプレートのように定着しており、多くの争訟事例で目にすることができます。そして、一体性を認める要件として挙げられるのは駐車場が①貸家敷地に隣接していることと、②入居者専用であることです。

 下の争訟事例では、①②が満たされているにも関わらず、被告(国税側)は一体性を否定しています。しかし、裁判所はこれを退け、貸家とそれに隣接する専用駐車場について利用状況を総合的に判断し、これらの一体性を認めています。

◇京都地裁平成24年2月29日判決

上の被告(国税側)主張と裁判所判断の対比は下の表のとおりです。

被告(国税側)の主張裁判所判断
面積の関係 本件共同住宅の居室数に対して本件北側駐車場の駐車スペースが不相当に広大である。本件北側駐車場はその南側部分の屋根付き駐車場のみならずその北側部分の白線で区画されただけの駐車場部分についても利用されており、本件共同住宅の来訪者の駐車スペースや自動車の出し入れに要するスペースを考慮すれば不相応に広大であるといえるか疑問であるうえ、本件共同住宅がその間取りから家族世帯用のマンションであり、本件共同住宅の入居者の駐車場利用状況を踏まえると、1戸につき自動車を2台保有する世帯があることを想定して駐車場を設計し利用に供することもあながち不合理とはいえないのであって、被告の上記主張を採用することはできない。
契約書の同一性    本件共同住宅の入居者が締結した本件北側駐車場の利用契約は本件共同住宅の賃貸借契約と別途されたものである。本件共同住宅の賃貸借契約のうち(全14室のうち)7室分については、その契約書中に駐車料金の記載があり、本件北側駐車場の利用契約が本件共同住宅の賃貸借契約と一体となっているともいえるし、上記のとおり本件北側駐車場は本件共同住宅の入居者の専用駐車場であり、本件共同住宅での生活にあたり駐車場は必要なものであることからしても、本件北側駐車場の利用契約は実質的に本件共同住宅の賃貸借契約の一部であるともいえ、被告の主張は採用できない。
法人契約と専用性本件共同住宅賃貸借契約の賃借人が法人の場合、本件北側駐車場利用契約の契約者がその法人の従業員個人である場合があることが窺われ、本件北側駐車場の契約者が本件共同住宅の契約者に限られているとはいえない。     駐車場利用契約には駐車車両を特定する必要があることも窺われ、上記のような契約主体の形式的な相違が生じるのもやむを得ない場合があり、このような点をもって本件共同住宅敷地と本件北側駐車場の利用の一体性の判断に影響があるとはいえないから、被告の主張は採用できない。

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