借地権の及ぶ範囲

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借地権の及ぶ範囲の論点

 広い貸地の一角に建物を建築した場合、必ずしも土地全体に借地権が及ぶとは認められません。土地評価の際に、一部を貸宅地として、他の部分を賃借権の目的となっている土地または自用地として評価することもあり得ます。また、借地権の及ぶ範囲の論点と評価単位とは別個に検討する必要があります。つまり、土地を一体評価するとしても、面積按分計算によって一部にのみ貸宅地を行う事もあります。

質疑応答事例

国税庁質疑応答事例(借地権の及ぶ範囲)

【照会要旨】郊外にあるレストランやパチンコ店のように、賃借した広い土地を建物の敷地と駐車場用地とに一体として利用している場合には、その土地全体に借地権が及ぶものとして評価してよいのでしょうか。

【回答要旨】借地権の及ぶ範囲については、必ずしも建物敷地に限られるものではなく、一律に借地権の及ぶ範囲を定めることは実情に沿いません。借地権の及ぶ範囲は、借地契約の内容、例えば、権利金や地代の算定根拠、土地利用の制限等に基づいて判定することが合理的であると考えられます。なお、建物の敷地と駐車場用地とが、不特定多数の者の通行の用に供されている道路等により物理的に分離されている場合には、それぞれの土地に存する権利を別個に判定することとなります。

争訟事例

①関裁(諸)平30-10
 借地権が全体に及ぶと認められた事例です。市街化調整区域内にあるコンビニエンスストア敷地(及びその駐車場)について、請求人は、土地2が開発許可を受けていない雑種地であり、土地賃貸借契約書には借地権の及ぶ範囲が明記されていないこともあり、貸宅地である土地1とは別評価する旨主張しています。そのうえで、土地1について借地権割合を控除し、土地2について50%しんしゃくを行い、それぞれ評価しています。これに対して、審判所は両土地を一体評価したうえで、借地権は利用実態からして全体に及ぶとし、さらには相当地代の授受を認め、全体について自用地の80%水準評価が妥当である旨の裁決をしています。なお、評価単位は、評価通達7ただし書きでは処理せず、土地全体を駐車場部分も含めて1画地の宅地として、一体評価しています。

②平成24年12月13日裁決
 借地権が一部に及ぶと認められた事例です。一団の土地が会社に賃貸され、当該会社はテニスコート部分(EFH土地)に賃借権を、そのクラブハウス敷地(D)に借地権を設定したうえで、一体として使用しています。審判所はこれらを、一体として利用されている一団の土地として一体評価したうえで、それぞれの面積割合に応じた按分計算をもって、貸し付けられている雑種地としての評価、及び貸宅地評価を行っています。

③東裁(諸)平26第9号(平成26年7月8日)
 借地権が(C土地)全体に及ぶと認められた事例です。倉庫建物敷地として利用されているC土地について、借地権の及ぶ範囲が論点です。原処分庁は、土地賃借人がC土地の西側の一部を月極駐車場として使用していたことに着目し、この部分には借地権が及ばないと主張します。そのうえで、C土地上建物の建築面積を建蔽率で割り戻した範囲をもって宅地(貸宅地)とし、残余の部分を雑種地(自用地)として、それぞれを別評価すべしというのがその要旨です。
 これに対し、請求人の反論は的を射ているように感じられます。「本件C土地のうち、本件C駐車場部分については、本件相続開始日において、賃借人が月ぎめ駐車場として使用しているが、このことは、本件C土地の上の借地権が及ぶ範囲に影響を及ぼすものではない。つまり、本件C土地全体の使用収益権は賃借人に帰属しているから、本件C土地全体をどのように利用するかは、借地権の基礎となっている土地賃貸借契約に反しない限り、賃借人の裁量と判断によるものである。よって、本件被相続人には底地権しか残存していないのであるから、本件C駐車場部分が月ぎめ駐車場として目的外使用されていたからといって、当該土地の所有者である本件被相続人が自用に供していたこととなるわけではない。」 審判所はこの論点について「、本件相続開始日において本件C土地に設定されていた借地権は、本件C土地全体に及んでいたものであるから、原処分庁の主張には理由がない。」等として、請求人支持の裁決をしています。

④千葉地裁平成15年4月22日
 借地権が一部に及ぶと認められた事例です。借地権の及ぶ範囲は、契約書よりも実態が重視されます。
「また、原告は、B、K、L、O2の各土地について、Aの借地権が存在すると主張している。しかし、土地全体について建物所有目的の賃貸借契約が締結された場合であっても、当該建物所有に通常必要であると認められる範囲で借地権が及ぶものと解すべきであるところ、1で認定した事実、証拠(甲2、3)及び弁論の全趣旨によれば、B、K、L、O2の各土地は、建物の敷地として利用されているA、E、F、Nの各土地とは明確に区分され、本件賃貸借契約締結後、B、K、L、O2の各土地が建物の敷地として使用されたことは一度もないこと、これらの土地は、いずれもアスファルト敷きで整地され、又は立体駐車場の敷地として利用されるなど、明らかに建物所有を予定しているとはいえない形状であることが認められる。そうすると、B、K、L、O2の各土地については、建物所有に通常必要な範囲ということはできないから、本件賃貸借契約によって、これらの土地にAの借地権が及ぶものということはできない。のみならず、1(4)で認定したように、B土地及びO2土地については、昭和47年に作成された公正証書により、その賃貸目的が仮設物置及び駐車場敷地に変更されているから、同土地については、賃貸借の目的が建物所有であるということはできない。よって、B、K、L、O2の各土地についてAの借地権が存在するということはできない。」

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