どっちだっけ?~指定容積率と基準容積率

 容積率には指定容積率と基準容積率とがあります(別記事)。相続税土地評価をしていると、容積率を評価に反映させる局面がしばしばあり、その際に「あれ、この容積率は指定だっけ、基準だっけ、いずれか小さい方だっけ」となることはありませんか。本記事でまとめてみました。

目次

容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価

 容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の価額は、15((奥行価格補正))から前項までの定めにより評価した価額から、その価額に次の算式により計算した割合を乗じて計算した金額を控除した価額によって評価する、とされています(財産評価基本通達20-7)。この場合の「容積率」は、指定容積率と基準容積率とのいずれか小さい方の容積率によると、質疑応答事例「容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価(1)」に示されています。  なお、角地のケースはこちらに載せてありますので、ご参考になさってください。

地積規模の大きな宅地

 大規模地について一定の要件を満たせば、「地積規模の大きな宅地」(財産評価基本通達20-2)として、規模格差補正率を適用することが出来ます。この一定の要件に容積率の大小が含まれるわけですが、ここでの容積率は「指定容積率」です。

都市計画道路予定地の区域内にある宅地の評価

 都市計画道路予定地の区域内となる部分を有する宅地の価額は、その宅地のうちの都市計画道路予定地の区域内となる部分が都市計画道路予定地の区域内となる部分でないものとした場合の価額に、表の地区区分、容積率、地積割合の別に応じて定める補正率を乗じて計算した価額によって評価することができます(財産評価基本通達24-7)。

 ここの容積率が、指定容積率・基準容積率・いずれか小さい方の容積率のどれを意味するのかについて、本記事執筆時点(2024年6月)では公式な見解を確認できません。ただ、多くの書籍や他の方によるブログ記事等では、「いずれか小さい方」であるという見解が定着しているようです。

 自分なりの見解なのですが、土地の利用効率に影響を与える程度が大きいのは、「指定容積率」よりむしろ「いずれか小さい方の容積率」でしょう。そうであるならば、原則的には後者を基に補正率計算をすべきです。ただし、「地積規模の大きな宅地」評価は、広大地補正による現場の混乱の反省を踏まえて簡明化に重点を置いて作られた規定なので、容積率もその流れで簡明に「指定容積率」が用いられる、という整理です。つまり、「地積規模の大きな宅地」は例外という位置づけなのではないでしょうか。

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