【特定路線価】設定された特定路線価の妥当性(平成18年10月10日裁決)

①評価対象地の状況と争点

 物理的状況は下図の通り(一部筆者が推測の上追記)。土地Eは南西側で路線価の敷設がない道路にのみ面している。設定された特定路線価(59,000円/㎡)の妥当性が争点。西側接続道路を起点として、30mほどの範囲で本件道路幅員は約4m確保されているが、それより奥は4m未満となり、2m程度の部分もある。下水道について、土地Eの基準路線は公共下水道への接続があるが、本件南側道路は公共下水道への接続はなく排水区域で処理区域外に所在している。

②原処分庁主張要旨

 特定路線価は59,000円/㎡が妥当。

③請求人主張要旨

 特定路線価は55,000円/㎡が妥当。

④審判所判断要旨

 請求人支持。道路の幅員、舗装の状況、系統・連続性等を総合的に勘案すると、特定路線価は55,000円/㎡が妥当である。

⑤まとめ

 「特定路線価を設定する道路と比準する路線との格差検討表」を用いて、格差率が争われています。設定された特定路線価が覆された珍しいケースではないでしょうか。道路幅員の判断(途中から細くなっている)と、公共下水道の有無及び引き込み可能性とが、両者の具体的な争点であり、請求人主張が支持されたものです。「特定路線価設定申出書」の別紙である「特定路線価により評価する土地等及び特定路線価を設定する道路の所在地、状況等の明細書」にはこれらの記載項目が設けられていますが、ここにはできる限り詳細な記載をすることが必要でしょう。

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